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「相対的浮世絵」 雑感

10月25日から下北沢 本多劇場で上演中の「相対的浮世絵」。
会話劇の面白さが詰め込まれたすばらしい舞台で、多くの人に見て欲しいと思うので記しておきたい。

 

  ~STORY~
人生の曲がり角にさしかかり、それぞれにややこしい問題を抱えてしまっている岬智郎(伊礼彼方)と、高校時代の同級生、関守(石田明)。
そんな二人の前に突然現れ、救いの手をさしのべたのは、20年前、高校生のときに事故で死んだはずの、同級生・遠山大介(玉置玲央)と岬の弟・達郎(山本亮太)だった。
どこかでうしろめたい気持ちを抱えながら、遠山と達郎の「ある力」を頼りにするようになる二人。
そこへ現れたのは、自分の思い出ばかり語りたがる、やたらおしゃべりな初老の男、野村淳(山西惇)。
彼は、遠山、達郎と知り合いだという。
いつも一緒にいた高校時代の、他愛のない思い出話に盛り上がる4人。そして、そんな話に入れて貰えない野村。やがて、話はかつての事故の話にさかのぼり……。
あの日、何が起こったのか。現在を生きる二人と過去のままの二人。四人の時間が交差した時、明らかになる真実とは…。

 

公式HPから引用 

http://cubeinc.co.jp/stage/info/soutaiteki2019.html

 

この作品は過去に2回上演されていて、今回が3回目。
私がこの作品を見に行ったきっかけは山本亮太くんが出演していたから。
伊礼さんは2013年キフシャム国の冒険ぶり。
他の出演者の方は生で芝居を見るのが初めまして。
出演者は5人だけ。その中で、シリアスとユーモアの絶妙な会話劇が繰り広げられる。

 

  • 作品の気持ちよさと脚本演出

死んでいる人が突然現れるっていう驚きとちょっとした怖さ。それでも変わらない兄弟や友人という関係。そこがとても秀逸で。軽い会話のやりとりだけも楽しめるし、考察たくさんしたいという人には間違いなくハマる舞台なのではないかな、と思う。

なぜ今このタイミングで死人が目の前に現れたのか。理由を探して勝手に怯えて、怯えるのには理由があって。いつのまにかセリフの間の中に巻き込まれていく快感、めちゃくちゃ気持ちが良いのです。

 

でも!会話劇の面白さって生で見てこそ!という部分があるのでうまく文章化できないし、自分の文才では限界があるので悔しいところ。

セリフの軽快さももちろんなのだけど、出演者の動き。そしてタイトルの示す「相対的」なもの。
簡単に解釈すれば。生きている者と死んでいる者、となるのだけどそれだけじゃなくて、学生時代の関係や、兄弟間等様々なところにも表れていて、見れば見るほど奥深く解釈出来る。
そこがねー、非常におもしろい。

 

山本亮太くんは役を掴むまでとても苦労したと色んな雑誌やインタビューで発言している。そして周りの共演者(主に伊礼さん)が支えてくれたと。でも実際舞台を見ると全くそういうことは感じさせなくて、びっくりしている。

 

これはもちろん贔屓目もあるのだと思うのだけど、おそらく山本くん「憑依型役者」なんだと思う。

HEY!ポールという舞台に立っていた時もそうだったのだけど、稽古途中まで経験で何とかしようとして行き詰まるんだけど、演出家や共演者の方がその部分にちょっと手を加えると、作品の解釈が一気に進むので役が降りてくるタイプ。

山本くん自身、元々感情・共感力は豊かで自分と役がリンクするとその瞬間化学反応みたいなことが起こるんだよね。
それがめちゃくちゃすごいので、ジャニーズJr.の山本亮太しかしらない人にはぜひ見てほしい。

 

 

もちろん他の出演者の役のハマり具合もとても素晴らしくて。
伊礼さんは2013年のキフシャム国の冒険ぶりで、その時のケルベロスの印象がめちゃくちゃ強かったので(あの役はちょっと亜種だったともちろん存じております)今回のシリアス調の演技がとても新鮮で。その他の役者陣の実力もおりがみつきなうえにバランスがとてもよくて!石田さんも玉置さんも山西さんも絶妙。

 

この爽快さ、是非に。

 

<東京公演> 
日程:2019年10月25日(金)~11月17日(日)
会場:下北沢 本多劇場

<大阪公演>
日程:2019年11月22日(金)~24日(日)
会場:COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

 

関連インタビューもとても面白いから是非。

spice.eplus.jp

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