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『Retrial:実験室』感想

楽しかったー!

この1ヶ月間、本当に楽しくてたくさん幸せをもらいました!


『Retrial:実験室』

re-trial.jp

【日程】

 東京:2021年2月5日~14日

    品川プリンスホテル クラブex

 大阪:2021年2月27日・28日

    COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール

 

【Cast】

 江田剛

 松本幸大

 原嘉孝

 小川優

 

【Staff】
 作・演出:マギー

 振付:藤田善宏(CAT-A-TAC/コンドルズ)

 ブレーン:佐藤満春

 

 【SPOT CM】

youtu.be

 

SPOT CMを見たところで何が起きているか分からないのがこの舞台の魅力で不思議な所。簡単に説明するならば、短編の芝居やコントが組み合わさって、その合間に様々なジャンルのダンスがあり、最後に短編の回収をしオチがつく舞台。

 

芝居とコント

こんなに自分が楽しめたのは、出演者4人のやりたいことをマギーさん達が汲みとって、可能な範囲で芝居に落とし込んでくれていたこと。そして4人それぞれの特性を生かした配役の絶妙さと、人間らしさを面白に表現していた脚本の奥深さ。

江田くんが記者会見で「フライングをやりたい!」と発言したところから作られたという『江田くんの夢のフライング』は遊園地で宇宙体験が出来るアトラクションというストーリーだった。実際にフライングをした訳ではなかったけれど、人力という発想も、身体の使い方ひとつで笑いが取れるところも楽しく抱腹絶倒だった。笑いながらもその話のストーリーの中には同調圧力っぽいニュアンスも入っていて、4人の絶妙な配役具合も相まって考えれば考えるほど奥深かった。

コロナウイルスワクチン開発の話では副作用で動物になってしまう⁈という設定が本当なのか嘘なのかの曖昧さ、紙飛行機作りのアルバイトの芝居も「何のために使うのか?」「このメンバーである意味は」って理由を探して疑心暗鬼になっていくサマ、メンバーカラーの大臣達がお城の壁の色を自分の担当カラーにしてほしいと進言していく様子。人間ならではの面白さとか滑稽さ、愛おしさが詰め込まれていてさらに4人が魅力的で大好きになっていく構成が素晴らしくて、ずっと楽しかった。脚本の奥深さも考えることが出来て頭が回転する快感も体感できた。

 


ダンスの話

椅子を使ったコンテンポラリーダンスは4人の表現力の高さと色気と肉体の美しさを存分に堪能できて、思わず美しさに息を呑んだ。江田くん・松本くん・原くんの3人に関しては筋肉の印影が照明で美しく映え、小川くんは元来のリズム感と手足の長さと長髪を生かした色気。4人とも踊ると雄弁でなんと魅力的なことか! その後すぐに始まる銀衣装は疾走感のある動きの速さと下半身の強さがよく出ている振り付けで宇宙Sixぽいニュアンスもふんだんに盛り込まれていて非常にかっこよかった。

他にもOPダンスのスローな動き、糸電話を使ったもしもしダンスは電話をモチーフにした振り付けがとてもかわいらしく、駒込ピペットを使った伝染感とリズム感が小気味いいダンスも、全て「見たかったもの!」が詰まっていた。かわいい、かっこいい、セクシー、面白い。全部が全部素晴らしい振り付けで、藤田さんには本当に感謝してもしきれないくらい。こんなにダンスパートがあって多幸感がすごかった。ずっとずっとジャニーズで培ってきた経験を含めた「踊っている彼ら」を見たかったので。

宇宙語漫才は後半のダンスありきの漫才で、初見の「ポカン」からの「なるほど」が快感でした!

 

アイドロイド

最後のオチのアイドロイド*1も本当に素晴らしい構成でびっくりしっぱなしだった。父から受け継いだAIのアイドル開発のお話は、今までのアイドルのストロングポイントを結集させたAIなので昭和感が満載。その流れを汲んで作られた曲は、昭和のアイドル曲みたいな絶妙さを踏まえて作曲を割田康彦さん*2作詞は天才マギーさん。アイドロイドの4人組“銀河スターズ”が歌う『銀河の王子様』がエンディング。

『Retrial:#実験室』銀河の王子様 歌詞公開! – plus a/プラスエー (plusa-theater.com)

色々あって、アイドル姿を見る機会が減ってしまったので、本当に嬉しかったなー。その反面、アイドルって虚像という側面があると私は思っているので、それを巧みにAIドルとして表現してきたのには本当に恐れ入った。完璧なAIを作るには人間の過去が必要という設定も、結局人間らしさを切り離せない部分も、自動セキュリティシステム*3があるから完璧なアイドルだという皮肉も、全部、今目の前の人が好きな私たちにとっては意味のある事だった。

AIドルという設定の銀河スターズに向けて自分が手拍子をしているのも自分が実験の一部に参加させられている感じがして少しゾッとしたのを覚えている。アイドルの特異性を上手く表現しているマギーさん、本当にすごい。

 


約1時間半の公演の中で、ずっと4人が捌けることがないことも満足度が高くて、待機中に他の人の芝居を見ながら笑ってる姿も貴重だったし、着替えも普段見れないことが見れる幸せもありがたかったなー。元々は宇宙Sixが2020年にやるはずだったステージだったけれど、このメンバーでこの公演が行われたことに意味があったんだな、と思えたことも嬉しかった。

 

またこの4人と、同じ製作陣の方々で新しい実験室が続きますように!

*1:アイドル+アンドロイド

*2:光GENJISMAPに楽曲提供されている方

*3:スキャンダルを未然に防ぐ機能