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「トムとディックとハリー」を楽しむためのまとめ

現在サンシャイン劇場にて上演中の「トムとディックとハリー」

 

作:レイ&マイケル・クーニ―  のファルス(笑劇)でこのご時世に笑いを届けてくれる舞台です。

 

公式ページあらすじ

ある朝。ロンドンに住むトム(江田)は妻と共にソワソワ、興奮と緊張の様子。それもそのはず、念願の養子を迎えるための最終関門、自宅での面接を行う適性審査員が間もなく我が家にやって来るのだ!
 とそこに、トムの弟ディック(山本)が外出から帰ってくる。ディックはトムに借りていた車(バン)でフランスから帰国したところで、おみやげに大量のタバコと数箱のブランデーを持ち帰ったとのこと。これが法に触れるとは知らないディックは、売却すれば少しでも養子を迎える足しにできるだろう、とあくまで兄への協力のつもりらしい。余計なごたごたを避けたいトムは、とにかく荷物を全部二階の自分の部屋へ運び込め、とディックに言う。
 そこへ末の弟ハリー(原)が訪ねてくる。彼も長兄の養子縁組に協力をしたくて、前々からトムが『持ち家だったら適性の面でプラスになるのに』とこぼしていたことに解答を持ってきた、と宣言する。近所で破格値の不動産情報を見つけて、その理由が庭から殺人事件の死体が見つかったからだと知り、トムの家の庭からも死体が見つかれば大家さんが安く売ってくれるはずだ、という算段。ハリーは病院の雑役夫なので、解剖した後の死体が簡単に持ち出せる、と自信たっぷり。慌ててトムはハリーを追い返そうとするが、
「じゃあ死体はどうする? もう庭に運んであるけど?」。
次から次へと巻き起こる騒動にトムは悪戦苦闘するが、事態はどんどん泥沼化していき…。

 人のいい長兄トムと愛すべきならず者の次兄ディック、そして天才だが愚鈍なところのある末弟。次から次に巻き起こる騒動に、抱腹絶倒、爆笑の渦!

 

 

会話のテンポもよくとても面白い舞台!なのだけどいかんせんカタカナと展開についていくのがたいへん!

以下は自分なりに関係図と出てきた用語と地理をまとめたので、読んだ人が「トムとディックとハリー」をより理解し楽しんでくれたら本望です。

※ネタばれ有り

 

 登場人物と関係図

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トム(長男):主人公。弟のごたごたに巻き込まれて、嘘に嘘を重ねていく。

ディック(次男):タバコとブランデーを密輸。売上金の半分を兄にあげようとする。知らない間にコソボ難民を持ち帰る。

ハリー(三男):病院から死体を持ってきちゃう。発想が天才だけど倫理がない。

リンダ(トムの妻):養子がくるのを楽しみにしている。ディックとハリーのことはあまり好きではない。

 

ダウンズ巡査(警察官):パトロール中、車のドアが開いていたのでカーウッド家にやってきた。

 

ミセス・ポッター(養子斡旋所所長):面談をしにカーウッド家へ。

 

カテリーナ(コソボの難民、アンドレアスの孫):母に会いたくてイギリスに来た。英語がわからずディックとボディランゲージで意思疎通する。

アンドレアス(コソボの難民):カテリーナの祖父。娘がイギリスにいるので孫とやってきた。アルバニア語を話す。

 

ボリス(マフィア):コソボ難民の二人を迎えに来た。

 

アルフィーフロスト(大工): 庭に温室を作る大工。消費税をごまかして6か月牢屋にいた。(名前だけ登場)

 

  • 途中でトムが勝手に名付けた偽名

 ディック → ビングリー(庭師設定)

 ハリー → ブラッドフォード(庭師設定)

 カテリーナ → アドリアティカ・アルメニア(グダンスク出身のスキーのインストラクターをしていたという設定)

 アンドレアス → バートおじさん(50年連れ添ったフローおばさんをふってきたという設定)

 

 用語

ホルムアルデヒド
 薬品。死体の防腐処理に使用される。

『三人姉妹』のお芝居
 アントン・チェーホフによる戯曲。
 リンダがトムとディックとハリーが仲良くしているのを皮肉った時に出てきた言葉。

セインズベリー
 イギリスのスーパーの名前

テスコ
 イギリスのスーパーの名前

オックスファム(OXFAM)
 貧困と不正を根絶するための支援・活動を展開している団体。
 ハリーがプレゼントしてくれた服を寄付する(という嘘)で出てきた。
 現在イギリスでは服そのものを寄付するのではなく、寄付した服を売ったお金が支援に回るシステム。

チャンネル4
 イギリスの公共テレビ局。
 若者やマイノリティ、知識層などを視聴対象とする番組編成。

タイタス・アンドロニカス
 ウィリアム・シェイクスピア作、悲劇の舞台作品。
 シェイクスピア全作品中、最も残虐で暴力に溢れている。
 ミセス・ポッターが「血がドバーっと出るし!」と言うくらいバラバラで残忍。

フォードフィエス
 ハリーが乗っていた死体を運んだ車。納税証明のステッカーがない。
 年代的にはMK ⅢかMK IVあたりのモデルだと思うが、ハリーが新車が買えるとは思えないのでMK Ⅱモデルもありえるのかもしれない。

f:id:rippleshyt:20200715153230j:plain MK Ⅱ

f:id:rippleshyt:20200715153544j:plain MK Ⅲ


うどんこ病・褐斑(かっぱん)病
 植物の病気。カビが葉に付く。
 ディックが庭師の設定で、巡査に説明する際、咄嗟に口から出た。

ノートルダムのせむし男
 日本ではディズニー作品「ノートルダムの鐘」で有名。
 ヴィクトル・ユゴーの小説。
 トムはカジモドのことを言っている。

アルバニア
 コソボ難民のカテリーナとアンドレアスが話している言葉。
 アルバニア国内はもちろん、それ以外では主にコソボマケドニア共和国モンテネグロセルビアギリシャ北西部で話されている言語。

 シャイロックの肉1ポンド
 シェイクスピア作『ヴェニスの商人』という喜劇作品から。
 高利貸しの「シャイロック」が借金のカタに貸した相手の肉1ポンドを要求していることから、トムとディックとハリーの劇中では「人命より価値がある」比喩として用いられる。

地名

25番 ラークホールレイン ケニントン
 トムが住んでいる住所。ケニントンのラークホールレイン通り25番地。

セントトマス病院
 ハリーが働いている病院。ここから献体を持ち出した。

フランス カレー
 ディックがタバコとブランデーを仕入れた場所。
 イギリスから船が出ている。

ウエストミンスターブリッジ
 ロンドンの橋。ハリーが働くセントトマス病院の近くの橋。

シェパーズ・ブッシュ
 カテリーナの母(アンドレアスの娘)がいる場所

クラッパムのゴミ捨て場
 献体を捨てに行けといわれていた場所

 

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トムの家からシェパーズブッシュまでは車で20分くらいとのこと

 

イギリスからフランスのカレーまでは船が出ている。

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グダニスク(劇中ではグダンスク)はポーランドの港町

 

 

聞き間違いがあったらごめんなさい。お知らせ頂けたら助かります。

 

 

感染対策も非常にこまやかでスタッフの皆さんも親切でした。

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